【岩手】13日発生の福島県沖地震から20日で1週間を迎える。東日本大震災10年を前に、激しい揺れに襲われた東北の被災地。今回同様、深夜に発生した場合、どのように避難すればいいのか、避難所でのコロナ対策は――。新たな課題も浮き彫りとなった。
午後11時7分。深夜の時間帯を襲った今回の地震は、津波の被害はなかったものの、夜間の災害に備える重要性を再認識させた。
10年前、震災の津波で大きな被害を受けた岩手県大槌町。災害公営住宅で暮らす藤原幸美さん(36)の次女(10)は布団にうずくまったまま動かなかった。「おびえもあったし、どうしたらいいかわからなかったようだ」と幸美さん。一方、高校生の長女は玄関を開け、避難する構えを取っていた。
一家は昨年、引っ越したばかりで、幸美さんも避難場所を確認することを怠っていた。「学校から戻って、子どもが一人の時間に津波が来たら、どうなっただろう」と心配する。
県内で最大震度5弱を観測した一関市では全世帯の約4割にあたる約2万1200戸が一時停電した。「今回はなかなか(被害状況が)見えにくかった」と勝部修市長。「職員の参集もこれだけ広い市域で深夜の地震後に(避難所など)それぞれの持ち場に向かうにはリスクもある。課題への具体的な対応を練っていかないとならない」と、夜間の地震への備えを再点検する考えを示す。
盛岡市は災害時は昼夜を問わず、原則として徒歩で避難するよう訓練などで周知してきた。「普段の道が通れない場合、車はそこに乗り捨てることになる。新たな障害物になる」。一方、夜間に徒歩で避難する際は「視界が悪い分、足元などに注意する必要がある」と呼びかける。
宮古市では、夜間に停電した場合でも目立つよう、太陽電池を使って避難場所の標識の明かりをつけたままにしている。「台風や洪水だと暗くなってから外に出るのは危険だが、津波の恐れがあるときは、まず高い所に逃げるのが鉄則」と芳賀直樹・市危機管理監は強調する。
10年前の震災の後、陸前高田市の長部地区では、七つある支部に避難を呼びかける情報収集班や救護班をつくった。自主防災会要谷(ようがい)支部長の菅野直樹さん(64)は「一人暮らしや歩くのが難しいお年寄りは車で避難所に連れていく手はずになっている。毎年訓練をして、役割分担を確かめている」と話す。
震災当時、県の防災危機管理監だった越野修三・岩手大学地域防災研究センター客員教授は「夜間での地震に備え、寝室の家具の固定が重要。停電する恐れは高く、懐中電灯やラジオを身近に置いておく。普段から避難路を歩き、危険な箇所がないか確かめておくことが大事だ」と話す。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル